蒸籠「さっみー!」
零児「あっ、カイロもっとるよ。ほらっ」
蒸籠「さんきゅー。……はぁ~、あったかい」
赤兎「ぼくは貼るカイロを、たくさんお腹に貼ってるからあったかいよ。ほらほら~」
奈津「別に見せびらかさなくてもいいんだけど……。
そんなに見せびらかすなら、遠慮なく一枚もらってくよ」
ベリッ
蜜雄「俺も一枚貰おう。肩に貼ればハニーも暖をとりやすいだろう……」
ベリッ
甘葉「俺様は誕生日だから貰えるもんは貰うに決まってる!」
ベリッ
赤兎「ああーーっ!! ひっど~い! ぼくの貼るカイロが減っちゃった~。
防護服みたいでかっこよかったのに……」
蒸籠「いいじゃん。まだ10個くらい貼ってあったし……」
零児「代わりにわいのカイロあげるさかい、これ使い」
赤兎「わーい! 零ちゃん、メルシー! ぎゅーっ!」
零児「ははっ。いくら赤兎くん嬉しいからって――ぐえっ」
蒸籠「わーーっ! 零児ーーーっ!! 赤兎の馬鹿力っ!」
蜜雄「このままでは零児が圧死するぞ?」
奈津「圧死すればいいんじゃない? どうせ周り雪だからすぐには腐らないよ」
甘葉「おい、奈津。笑えねぇジョーク言ってんなよ?
おかげでさらに冷え込んだっつーの。
それよりお前たち・・・さっさと手を動かせ!」
蜜雄「口より手を動かさねば、いつまで経っても出来ないだろう……」
蒸籠「うへー。朝からやり始めて、もうすぐ昼過ぎだもんな。お腹空いたぜー」
零児「8割方完成ってところやな?」
赤兎「可愛い子ちゃんが来る前に作らなくちゃね!」
蒸籠「ちぇっ。甘葉が急に『かまくら』を作りたいとかいうからこんな目に……」
甘葉「うっせー豆芝! 俺様の誕生日でもあるんだから言う事聞いとけ!」
零児「しっかし、まさか甘葉から『かまくら』を作りたいなんて言うとは思わんかったわ」
蜜雄「確かに普段の甘葉ならば率先してやろうとは言わないだろう。
2月14日のバレンタインデイに雪が降ったからと推測している」
赤兎「ああ。甘ちゃんって意外とロマンチストだもんね」
蒸籠「あははっ! 似合わねー!」
甘葉「うるさいって言ってんだろ! このっ!」
蒸籠「ぶっ! ――っ、冷てぇ! 雪玉ぶつけんなよっ! お返し――ぶほっ」
奈津「あっ、ごめん。なんか見てて腹が立ったから……」
蒸籠「この野郎、奈津めぇ~!」
零児「……そんな事してたら、いつまで経ってもチョコフォンデュ食べ損ねるで?」
蒸籠・奈津「「うっ」」
甘葉「バレンタインデイに雪が降るなんて奇跡は早々起こらねぇ……。俺様が小さい頃から憧れていた、『チョコフォンデュをかまくらの中で食べる』という夢はすぐ間近っ!」
赤兎「うん。ぼくもそういうシチュエーションは好きなんだけどね――。
ただ、男6人と女の子1人で入るかまくらの大きさを無視すれば……」
蜜雄「全員で取り掛かればなんとかなると思って、召集させられては迷惑だな」
奈津「全くだよ」
甘葉「じゃあ、お前たちはチョコフォンデュぺろりたくねぇのか?」
蜜雄「……ぺろりたい」
赤兎「ぼくもぼくも~、ぺろりまくっちゃうよー!」
蒸籠「オレだってぺろるからなっ!」
零児「ぺろらんと、やってられへんわ」
奈津「じゃなきゃ、こんな労働作業やってないよ。……俺もぺろりたいから」
甘葉「よーしっ! いざとなったらセバスチャンたちにも手伝わせるから安心しろ」
甘葉「それじゃ、作業再開だ!」
一方、ちよこ――
ちよこ(……みんなのお菓子に対する情熱ってすごいなー)
ちよこ(あともう少しでチョコフォンデュ出来上がりそう……早くみんなの喜ぶ姿が見たいなー。ふふっ!)